パート①で「必要な道具」をご紹介しましたので、パート②では、渓谷における釣りポイントの見つけ方とルアー、特にスピナーを使った攻め方をご紹介します。
また、釣った魚の料理法もご紹介します。せっかく釣れたのですから、美味しく食べて頂きたいと思います。美味しければ「また釣ってこよう」という気にもなりますから。
渓谷での釣りは海釣りと違って「魚のいる場所」を知ることから始まります。実はヤマメ、イワナ、ニジマスは「渓谷なら、どこにでもいる」というものではなく、必ず「特定の要件を満たす場所」にいるのです。
それを見つけ出すのが渓谷釣りの面白さでもあります。順番に述べていきましょう。
目次
1:川釣り・渓流釣りポイントはどこか?
一体、ヤマメ、イワナ、ニジマス渓谷のどこにいるのでしょうか?それはヤマメ、イワナ、ニジマスの性質を知ることから始まります。これらの魚がいる場所には条件があるのです。
1-1:エサが流れて来る所
渓流の魚は水中で上流に頭を向けて待っています。何を待っているのか、というと「エサが流れてこないかな」と待っているのです。
ですので、水たまりのような「流れが無い所」にはいません。
エサは川の流れによって運ばれてきますので「川の流れがあるところ」というのが、まず条件になります。
1-2:川の流れが緩やかになる所
渓流は段差が多く、深さもまちまちで水の流れも早い所と緩くなるところがあります。
魚としては流れが早すぎる所は「自分が流されてしまう」ので、長い時間、いることが出来ません。
また、エサを取る都合上からも「川の流れが緩やかなところ」が一番、都合が良いのです。これが次の条件になります。
1-3:隠れるものがある所
渓流の魚は色々な動物に狙われています。特に危ないのがトンビでグライダーのように旋回飛行しながら川魚を狙っています。
カワセミも脅威で、見つかったら、すぐに捉えられてしまいます。カワセミはとてもきれいな鳥で初めて見ると「見とれてしまう」位ですが川魚には天敵なのです。
ですので、魚は鳥に見つからないよう隠れています。隠れる場所は水中の岩石の下や大きな岩の割れ目、水中に生えている大きな草や水没した樹木の影などです。
またトンビが急降下してきても届かない位の深い場所は非常に安全なので「深さがあるところ」は、なお良い、ということになります。
イワナ、ヤマメ、ニジマスは普段、こういった「隠れた場所」にいてエサが流れてくると、隠れ場所から飛び出して取りに行き、また隠れ場所に戻る、ということを繰り返しているのです。
つまり逆にいうと「隠れる場所がない所にはいない」のです。川床が一面の小石で砂利のような所、一面が砂地のような所、水深が浅い所は隠れようがないので、そういう所にはいません。
1-4:イワナとヤマメは暗くて冷たいところが好き
イワナ、ヤマメは直射日光を嫌います。これは「鳥に見つかりやすい」という事もあるようですが、イワナ、ヤマメは「冷たい水が好き」なので、水温が上がってしまう「日の当たる場所」は居心地が悪い、ということもあるようです。水温が高いと、いわゆる「活性が低い」状態になってしまい「エサが流れてきても隠れ場所から出てこない」のです。
ですので、地元で「超穴場」として知られているような所でも真夏のカンカン照りの日は「ニジマスとうぐいしか釣れない」ということが起こります。
ニジマスとうぐいは「少し温い位の水が好き」だからです。逆に曇って寒い日になると活性が上がり「イワナとヤマメが入れ食い状態」になったりします。そういった点で渓谷釣りのベストシーズンは秋だと言えるでしょう。
しかし川の水温というのは源流がどうなっているか? で違います。例えば北アルプスを源流とする川は真夏でも手が痺れるくらいに冷たいのですが、それは「雪解け水」だからです。こういった川では真夏でもイワナやヤマメが釣れます。一方、そうでない河川は秋になり、気温が下がらないとイワナ、ヤマメは釣れにくいのです。
もっとも「場所、時間帯にもよる」ので一概には言えません。ただ渓谷釣りには「水温が重要」と知っておいて下さい。高ければニジマス狙い、低ければイワナ、ヤマメ狙いで行きましょう。
2:具体的なポイントの見つけ方
という訳で、以上の条件を満たす場所を探せば良いのですが少し、まとめてみると以下のようになります。
ある程度の水深があり川底に岩などの隠れられる場所があり、流れが緩やかなところ
この条件に合う場所は、ほとんどの場合「滝場の先」になります。
少し写真でご紹介しましょう。
悪い例:水流が急な場所
ここは大きな段差が続く川幅が狭い場所で、全体が連続した滝にようになっています。
景色としては綺麗ですが、魚としては、ここにはいられません。水流が強すぎるのです。
渓谷には、こういった「滝場」と呼ばれる場所が必ずあります。ここに魚はいませんが、実は、この先に釣りポイントがあるのです。つまり「滝場」は釣りポイントを見つける重要な目印なのです。
良い例:水流が緩やかな場所
滝場の下流には必ず強い流れが緩やかになる場所があります。流れは滝場から離れるに従って、段々と弱くなりますが、あまり緩くなりすぎてもいけません。
「まだ勢いはあるけど、相当に緩やかになりつつある」場所がベストポイントです。写真の赤丸部分です。
こういった場所で川底に岩などの「魚の隠れ場所」があるようなら100%魚はいます。もちろん赤丸の手前でも、後ろでも可能性があります。また「滝場の下流」以外でも条件にあっていればポイントとなる場所はありますので、常に川の流れ具合に注意して下さい。小さいポイントは案外に多くあるものです。ポイントを見つけたら
「静かに」行動して下さい。人の気配を感じさせたら釣れなくなってしまいます。
3:ルアー(スピナー)での攻め方
さて、いよいよルアー(スピナー)を投げ入れてみましょう。でも、どこに投げ入れれば良いのでしょうか?それを理解して頂くために、少し状況を図式化してみましょう。実は以下のような状況なのです。
3-1:簡単に状況を整理すると
この時、ルアーを投げ入れる場所はどこになるでしょうか・・・?
3-2:ルアーは対岸に向けて投げ入れる
この状況で、ルアーを投げ入れる場所は以下の図の赤丸の場所がベストです。つまり「対岸に向けて」投げるのです。
投げ入れたら少しリールを巻いて糸を「ピン」と張った状態を保ち、ゆーっくりと巻きながらルアーの動きは水流に任せます。
3-3:ルアーは魚の前を横切るように
水流に任せながらリールを巻いていくと、ルアーは水流に流されて、ロッドを支点として上の図のように弧を描くようなラインで動いていきます。
すると先頭集団の中の何匹かの目の前を横切ることになり、最初に気が付いた魚が飛びついてきます。
水の流れを使って魚が横一列に並んでいる「目の前」をルアーが横に通過するように流すのです。
3-4:1匹釣れたら移動
一匹、釣れたら、もう、その列の他の魚には「覚えられて」しまっているので、そこでは釣れません。少し、下流に移動して同じやり方で投げましょう。次の列が待っています。
3-5:よく見られる失敗例
よく見られるのは、上の図のように列の中心に投げて、リールを早く巻いて直線的にルアーを引いてしまう、やり方です。
これでも一匹は釣れるかもしれません。しかし結局は魚を散らしてしまう結果となります。
基本は「対岸に投げて、後はゆっくり巻いて糸を張り続け、ルアーの動きは水の流れに任せる」です。これを「ルアーを泳がせる」と言います。スピナーというルアーは横に泳がせた方が効果があります。
もちろん直線的に投げて、そのまま引っ張っても良いのですが広いポイントを一発で荒らしてしまいかねないのです。そして海と違い、渓谷では釣れるポイントの数は限られています。ですので、1つのポイントで、より多く釣るには、じわじわとやる方が良いのです。
4:ヤマメ、イワナ、ニジマスの料理法
せっかく釣った魚ですから、美味しく食べたいものです。ヤマメ、イワナ、ニジマスを食べる場合、最も一般的なのは「塩焼き」。それはヤマメについては正解です。
イワナ、ニジマスも塩焼きにしますが、非常に淡泊な味で人によっては「味がしない」とまで言います。これは川魚全般に言えることです。
そこで、よく取られるのが「燻製にする」という方法で、燻製にすると、まるで別物のように美味しくなるのです。
そこで、今回は「塩焼き」と「燻製」の作り方を解説します。
4-1:まずは下準備
ヤマメ、イワナ、ニジマスは料理する前に「下準備」が必要です。簡単に言うと「臓物を取る作業」です。
川魚の料理では鮎を除いて「臓物を取る」作業が必要ですが結構、深いコツがあります。ですので、あらためて別の回で御説明させて頂きますが、とりあえず下準備として「臓物を取る作業」があることだけ知っておいて下さい。
4-2:塩焼き
下準備が終わったら、少し、塩をふって焼けば「塩焼き」の完成です。塩を振る前に料理酒につけて20分位、冷蔵庫に入れておくと川魚独特の臭みが消えて、より美味しくなります。
キャンプファイアで焼く方法は金属串を口から差して、背中部分を通すようにします。少し「くねらせる」と、それっぽくなります。
焚火で焼く場合、頭を下にして、必ず背側から焼き、それから腹側を焼きます。炭の場合、「背側40分、腹側20分」と言われますが、魚の大きさによって時間は変わるので、焼ければOKです。
15cmくらいまでのヤマメ、イワナ、ニジマスは頭も骨も、そのまま食べられます。頭を下にして焼くと、うま味が貯まるので、頭が特に美味しいのです。
塩焼きにする場合、内臓やヒレを取らないで焼くこともあります。ただ臓物の味は「通の味」なので、苦手な人が多く、取った方が無難です。
4-3:燻製
渓流釣りのベテランは釣った魚を燻製にすることが多いです。なぜなら「一番、美味しくて長持ちする」からです。
燻製には冷燻、温燻、熱燻の3種類がありますが、冷燻は専用の設備が必要で簡単ではありません。よく段ボール箱やドラム缶で燻すのがありますが、あれが温燻です。温燻はやるのは簡単ですが加減が難しく初めての方には向きません。
また最低でも2時間は燻さないといけないので時間もかかります。
燻製のやり方は長くなるので、別の記事で紹介させていただきます。
ご説明してきましたが、一度ハマると何回でも行きたくなるのが渓谷釣りです。
川音だけがする静かな大自然の中で行う渓谷釣りは、独特の味わいです。
そして燻製にできる大きさの魚はルアーで釣るのが最も成功率が高いのです。
機会があれば、是非、一度お出かけ下さい。ただ、必ず「熊鈴」を用意して行って下さい。また大自然は「結構、意地悪」でもありますので色々な事が起こります。
ですので、慎重に、あせらず行動しましょう。
また、そもそも「どこへ行くか」も問題です。渓流釣りの本を見れば釣れる川は分かると思いますが、渓流釣りは多少の経験を要するので最初は苦労して行ったのに一匹も釣れなかった、という悲劇も有り得ます。
ですので、機会があれば、初心者の方向けの川等も御紹介してみたいと思います。
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